植物乳酸菌について
植物乳酸菌とは?
乳酸菌は, 腸管内だけではなく, 果物, 野菜, 花, 穀物、薬用植物などの植物表面にも生息しています。ちなみに, 「乳酸菌」は細菌なので, 植物の性質を持っているわけでありません。そんなことから, 「植物性乳酸菌」という呼び方は科学的には間違っています。私たちは, 植物由来の乳酸菌を「植物乳酸菌」と呼ぶことにしています。厳しい自然環境で生き抜くことができる「植物乳酸菌」は, さまざまな自然環境に適応する能力、すなわち、多様性を持っています。
広島大学大学院医系科学研究科に設置されている「未病・予防医学研究講座(担当杉山教授)」は、杉山政則教授が創設した広島大学発ベンチャー企業である「(株) IPL」と協力し, 植物を分離源として、これまでに1,200株を超える植物乳酸菌を分離してきました。その植物乳酸菌ライブラリーから, 優れた保健機能性を示す植物乳酸菌を機能性食品や創薬の開発のために活用しています。ごく最近, 植物乳酸菌による生薬発酵液に新生する化合物を発見しました。保健機能性分子に関する科学的エビデンスは, 未病・予防医学共同研究講座に設置されている「臨床評価学部門」の主導で収集しています。すでに、本講座に登録されている被験者ボランティアの登録者数は5,200名を超えています。
植物乳酸菌の強さ
植物乳酸菌と動物乳酸菌の胃酸や胆汁酸に対する耐性を比較しました。
植物乳酸菌と動物乳酸菌の人工胃液中での増殖の違いがこちらです。
植物乳酸菌は, 胃酸や胆汁酸に対する耐性が強く, 生きて腸まで届く確率が高い。
未病・予防医学への挑戦
わが国は世界でも有数な長寿国にもかかわらず, 生活習慣病患者やその予備軍がきわめて多い国です。そのため, 日本の医療費は年々増加し続けています。
私たちは, 植物乳酸菌の保健機能性を未病の改善や健康維持に利用することを通じて, 健康長寿社会の実現を目指しています。